カテゴリー

会誌新刊案内

考古学会ニュース

地域別

時代別

日付別

最近の記事

考古学会ニュース

発掘情報
  • 佐賀県
  • その他

初期鍋島を焼成した窯跡

佐賀県伊万里市教育委員会が調査を進めている国史跡大川内鍋島窯跡(同市)内に所在する江戸時代の日峯社下窯跡から,佐賀藩が将軍家などに献上するために製作した鍋島焼のうち,初期段階の「初期鍋島」の陶片50点以上が出土した。日峯社下窯は1650年代後半から60年代に築かれた階段状連房式登り窯で全長約52m,傾斜地に15室の焼成室が並ぶ。火のめぐりが安定している中央付近(第8・9室)で,初期鍋島が焼成されていたと考えられる。第8室は後世に大きく掘削されていたが,他の焼成室と大きな差異はみられない。また,奥壁が重なった状態で検出され,改修が行なわれていたことを示している。窯体に沿って,雨水を流したとみられる溝跡も確認されている。2017年度の調査は第8号室の作業段と物原(失敗品の廃棄場所)を対象に行なわれた。作業段は登り窯に付帯し,製品の出し入れをしたり薪を置いたりする場所で,時期が異なる石垣2面を検出した。物原の堆積層は大きく2時期にわかれており,石垣と関連があると推測される。日峯社下窯跡では中央以外の焼成室では粗放な磁器碗を大量に焼成しており,出土遺物の90%以上を占める。初期鍋島の廃棄方法として,意図的に細かく砕かれており,秘密保持の意味合いが強いと思われる。ほかに東南アジア向け輸出用の陶片約10点が新たに確認された。

ページトップへ戻る