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大量の埋蔵銭と木簡が伴出

中世館跡である埼玉県蓮田市に所在する新井堀の内遺跡から,1個体の大甕に納められた大量の銭と木簡が出土した。埼玉県埋蔵文化財調査事業団の発掘調査によると埋蔵銭は,館を囲む二重堀の内側で,遺構確認面から2.0m下に埋められていた。大甕は15世紀前半に焼かれた「常滑焼」で,高さ約74㎝,口径約60㎝,胴部の最大径約94㎝,容量は推定約280Lである。甕は直径66㎝の緑泥片岩製の丸い石蓋で閉じられていた。銭は中央の穴に紐を通した「緡銭」と呼ばれる状態で納められていた。上面で確認できた銭種は,中国からの輸入銭である「永楽通宝」,「元豊通宝」,「開元通宝」など19種類70枚である。木簡は大甕の縁から石蓋に挟まれて検出された。墨で4行の記述がみられ,2行目は「いのとし」,3行目は「二百六十」,4行目は「くわん」または「貫」と読める。これは埋蔵銭の埋蔵年と銭の枚数を示すと考えられ,記述通り「二百六十貫」とすると,26万枚(1貫は1,000枚)と推定でき,国内最大量の可能性がある。木簡が伴出する事例としては,全国で3例目となる。

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